第二十六章 サバイバル

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「いいからここに戻ってサプリメントを食え。何も食ってないんだろ。食わなきゃ出来る事も出来なくなるぞ」 「出来る事が有るって言うの?!」 思わず美緒も身体を乗り出した。 「俺の計算では、その色仕掛けが一番ここを抜けれる可能性が高い。でもそれをやろうとすると、今度は俺があんたに殺されちまいそうだ」 そう語った大地の目は、圭一に向けられていた。 「なんだ、解ってんじゃねえか!」 圭一の鼻息は荒い。大地と行動を共にしている事自体が許せないのであろう。 しかし大地は、遺伝子操作されたウェポンを知り尽くし、またどこで調べたから不明だが『大要塞』の事も熟知している。 どんなに憎かろうが、どんなに一緒に居て居心地が悪かろうが、離れる事は元より、殺す事などは出来る訳が無かった。 そんな構図を全て理解している大地は、今もノーガード。緊張感はまるで感じられない。 他人事...... そんなオーラを存分に撒き散らしていた。 「奴等には一つ大きな弱点がある。そこを上手くついていけば、戦わずしてここを抜けれるやも知れん。正し、極めて難しいミッションになるだろうけどな」 口に含んだサプリメントの錠剤を飛ばしながら、力説を始める大地。実に下品この上も無い。
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