第二十六章 サバイバル

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美緒と圭一の二人は、腹を括り、サプリメントを一個づつ口に含んだ。 「宜しい。今君らが飲み込んだカプセルは劇薬だ。カプセルが溶けて中身が胃腸に広がった瞬間、君らは1分以内に死亡する。 そのカプセルは特殊加工されていて、6時間は溶けないように出来ているからそれまでは安心だ。 また、無理に吐こうなどとして、食堂を逆流すると、その時点でカプセルが破裂する仕組みになっているから、無茶な事は止めておいた方がいいぞ。 解毒剤を作るには、私のリュックの中に入ってる複数の薬品を、1ミリグラムの誤差も無く完璧に調合しなければならない。 あいにくそのレシピは私の頭の中だけだ。生きて娘を助け出したければ、まず何よりも私の命を守る事だ。解ったな」 大地はまるで詩を朗読するかのように、さらりとそのような事を言ってのけた。 「な、なんだとっ!」 「君はバカか? 自分の置かれている立場が解って無いようだな。解ったなと聞かれたら、はい、解りました、大地様 だろっ!」 「くっそー......」 「なんなら今この場で薬品全部燃やしてやろうか? 早く言え!」 「圭一さんっ!」 美緒は首を小さく縦に降っている。 ここは我慢する所よ...... そんな事を言っているかのようだった。
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