第二十六章 サバイバル

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それから、今度は2時方向を見てみろ。有るのは要塞の分厚い鋼鉄の壁だけだ。 ここから約100メートル辺りの所が少しだけ壁が飛び出してるだろう。この景色を目に焼き付けておけ。 次にそのすぐ手前を見てみろ。あそこら辺だけなぜか地面が茶色く見える筈だが、あれが何か解るか?」 大地はここで二人の顔を順に見渡した。 「ただの土にしか見えんが......」 圭一は目に写ったままを、そのまま口にした。 「あの土の表面の感じ...... 前に写真で見た事がある。あれってもしかして......底無し沼じゃない?」 突然大地はパチパチと拍手を始める。 「いやぁ、君は本当に洞察力が鋭いな。私の秘書にしたい位だ。ご明察通り! あの一帯は底無し沼だ」 バカにしないでよ! 誰がお前みたいな変態野郎の秘書になんかなるか! 心の中で大地を罵倒する美緒だった。 瞬間湯沸し器の美緒が、口に出して言わなかったのは、正に成長の賜物と言えよう。 「奴等をあそこに誘き出して、沼に沈めようって寸法か?」 圭一が大地の目算を読み切ったような口調で策を披露した。 「君と言う人間は、全くどう言う単純な脳細胞をしてるんだ? 奴等はここに住み着いてるって言っただろう。連中がそれを知らない訳無いじゃ無いか。底無し沼に沈むのは奴等じゃ無い。君だ!」 「???」 「!!!」
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