第二十六章 サバイバル

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「ほっ、本当だな? ならばとっとと抜け出すとしよう。 まずはここから底無し沼までの事だが、私と、ご令嬢がここからライフルで援護射撃を行うから足止めくらいは出来る。安心しろ。 それから底無し沼まで走る間には、大小様々な石の類いがゴロゴロと転がってる。手頃な岩を抱えて飛び込め。沼自体も水分が多めだから、直ぐに沈むだろう。 あとこの斧を持って行け。地下の壁は一応鉄で出来ているが、沼の水分で金属磨耗が激しく進んでいる。沼の中とは言え、君の怪力だったら簡単に穴が開くだろう。 あとこのロープは腰に巻いていけ。すぐ横に外灯が見えるだろう。あそこの柱にロープを縛り付けて飛び込むんだ。終わったらロープを伝って上がって来い。 あと電力停止から自家発電機に切り替わるまでは10分掛かる。君が地上に戻った時には真っ暗だ。赤外線スコープも忘れないようにな」 まるで将棋の駒を動かすような大地のビジョンではあったが、一応筋は通っているよう思える。あとは圭一の力次第と言う事なのだろう。 「なんだか簡単そうに言ってるけどよ、本当にそんなに上手くいくのか?  まぁ、でもこれをやらなきゃ美緒さんの色仕掛けになっちまうもんな。よし、やってやろうじゃねえか!」 時刻はすでに13時。刻々と時間は過ぎて行く。チャンスは泣いても笑っても1回のみ。 武者震いが止まらない圭一だった。
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