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タッ、タッ、タッ!
タッ、タッ、タッ!
ステップを踏む度に、石が激しく丘を転げ落ちていく。
圭一はダウンヒルを武器に、トップギアへと一気にシフトチェンジを開始した。
タッ、タッ、タッ!
タッ、タッ、タッ!
やがて一気に、
20m/100m地点に到達。
まだ穴からは誰も飛び出して来る気配は無い。
タッ、タッ、タッ!
タッ、タッ、タッ!
気付くな......
気付くな......
祈るような気持ちで走り続ける圭一。
そして、
40m/100m地点に到達。
未だ出て来る気配は無い。
水を打ったような静けさだ。
まだ来るなよ!
ハァ、ハァ、ハァ......
直ぐに息が上がり始める。
地上に比べ、密閉された洞窟内は明らかに酸素濃度が薄いようだ。
更に、
60m/100m地点に到達。
この時、丘を発してから既に10秒が経過していた。
陸上競技のトラックを走るのとは訳が違った。大小様々な形状をした石類が、容易に加速を許してはくれない。
しかしながら、予想に反し圭一はあっさりと中間地点を突破していった。
もしかしてこのまま人間ウェポンは出て来ないのでは無いか?
淡い期待を胸に、やがて圭一は手頃な岩を探し始める。
自分の体重だけでは、底無し沼で一気に身体を沈める事は出来ない。 そこで戸惑ってしまうと窒息死は免れなかった。
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