第二十六章 サバイバル

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見れば全員僅かな布を纏っているだけのほぼ裸に近いような装い。髪の毛も髭も伸び放題だ。 更に筋骨粒々。プロレスラーと言われれば、そのようにも見える。 彼らを何かに例えるなら『野人』 正にそんな言葉がピッタリだった。 血の色の如く真っ赤に染まった目。 吸血鬼顔負けの鋭い牙。 口から絶え間なく流れ落ちるヨダレ。 その表情は、正に気違いピエロ。 狂気に満ちていた。 それら5体の人間ウェポンは、石の上をまるでホバークラフトの如く、滑るように圭一の元へと迫り来ている。 150m離れていた距離も瞬きする毎に、 120m、90m、60m...... 一気に狭まってくる。 ヤ、ヤバい! 圭一は岩を抱き上げると、目が覚めたかのように走り始めた。 プキュン! プキュン! 丘の上からは、大地と美緒の一斉射撃が始まる。 突然の銃撃に、さすがの人間ウェポンも若干の怯みを見せた。 勿論弾などは当たる訳が無い。 相手が人間ウェポンで無くとも、これだけの距離が離れていれば、的を絞るのも難しかろう。 しかし足止めを喰らわすと言う意味では、予想以上の効果があったと言える。 この隙に! 圭一は20キロの岩を抱えながら、重戦車の如く突進して行く。 底無し沼までの距離はあと10mだ。
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