第二十六章 サバイバル

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「それって......」 「ここで彼とは離れ離れって事だ」 大地は白々しい程の余裕顔で答えた。 その顔を見ていると、もしかしてそれすらも大地の計算通りだったのでは無いか? そんな疑念すら湧いてくる。 「圭一さんが居なかったら、この後出て来る敵はどうなるのよ。それとさっき飲み込んだ劇薬カプセルの中和はどうするの? 6時間でカプセル溶けるんでしょう」 「ウェポンが現れるのはここで最後。その後待ち受けているのは人間だ。 私はウェポン攻略が専門であって、人間攻略は君らが専門だろ。 あと、劇薬カプセルの話は嘘だ。ただのサプリメントだから安心しろ」 「ふ~ん......」 劇薬カプセルの話は嘘。その事に関しては、最初から美緒は看破していた。別に今更驚く程の話では無い。圭一も多分同じであろう。 しかし、人間攻略はこっちが専門。と言う事に関しては少し耳が痛い。 美緒がここまで考えて来た戦略は、全て戦闘力旺盛な圭一ありきと言っても過言では無かった。 いくら奇抜な策を練ろうとも、それを計画通りに遂行出来る兵隊が居なければ、計画は計画だけで終わってしまう。 そしてこの後、その圭一は居ない。 困った...... 美緒の心は、いい知れぬ不安に掻き立てられた。 「おっと、奴等が丘を超えて来たぞ。ちょっとそこの岩の影に隠れて静かにしてよう」 「......」 美緒は無言。 必死に次なる設計図を組み立てているようだ。 圭一さんなら...... きっと何とか大要塞の中でも一人上手くやるだろう。 そんな事より、問題は私の方だ。 美緒はチラリと大地の横顔を見詰める。 こいつと二人? こいつがパートナー? いつ寝首を刈り取られるか解ったもんじゃない。実に危険な男だ。 頼れるのは自分一人...... そう考えざるを得なかった。
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