第二十六章 サバイバル

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泥と共に地下室へ乱入する圭一。あとはこの斧で配電盤を破壊するだけだ。 地下室の中は、正に暗黙の世界。光を発するものは皆無と言ってもよい。 そうだ、これこれ...... 圭一は思い出したかのように、ポケットから赤外線スコープを取り出す。そしてすかさずそれを目に掛けると、暗黙の中ではっきりとした視界が広がっていった。 バチンッ。 照明のスイッチをONにしてみる。 すると、そこは間違いなく『配電盤室』だった。 『電力』『動力』『通信』...... あらゆる電気系統の幹線が、ここに集約されているようだ。 鏡に写し出された自身の姿に、自ずと視線が止まる。 髪の毛、顔、衣服......全てが泥色に染まっていた。底無し沼を潜って来た訳だから、無理も無い。 これじゃあ泥饅頭じゃねえか...... ゴム皮膚脱ぐんじゃ無かったな...... 確かに保温性抜群のゴム皮膚を身に付けていれば、寒さは凌ぐ事が出来る。 しかし、生死を分けるバトルともなると、コンマ数ミリの感覚のズレが、勝負を大きく左右してしまう。 圭一も美緒も、人間ウェポン出現前にゴム皮膚を全て剥いでいた。 美緒さん...... 俺はここから再び外には出ていけない。美緒さんは外から最北の『焼却塔』に向かってくれ。 俺はここから『大要塞』の中を、遮二無二北へと進んでいく。 それで必ず生きて『焼却塔』で落ち合おう。約束だぜ.......
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