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バサッ!
突然振り下ろされた人間ウェポンの爪を、間一髪かわした美緒。
タッ、タッ、タッ......
タッ、タッ、タッ......
美緒と大地は、『大要塞』の照明が落ちると同時に暗黙の中を駆け抜け始める。
『大要塞』の照明が落ちた......
即ちそれは、圭一が無事『配電盤室』に辿り着いた事を意味する。
良かった......
緊張の中に、一時のオアシスを感じる美緒だった。
しかし感傷に浸っている時間などは無い。死へのカウントダウンはすでに始まっている。
自家発電機に切り替わるまでの時間は、たったの10分。その間に丘を越えて、300m先の更なる丘を越えていなければ、二度と圭一に会う事も無かろう。
ここで自分が、人間ウェポンに捕まってしまうような事にでもなれば、圭一の功績が無意味なものへと化してしまう。
圭一さんは、命を掛けて自分の仕事をやり遂げた。次は自分の番だ!
美緒は人間ウェポンの爪をかわすと、一目散に丘を駆け上がった。
ザッ、ザッ、ザッ
ザッ、ザッ、ザッ
砂利で固められた丘を慌てて登り詰めれば、当然の如く砂利は下へと崩れ落ち、『私はここに居ますよ』と言わんばかりの音を発生させる。
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