第二十七章 最強兵士

4/45
前へ
/1040ページ
次へ
バサッ! 突然振り下ろされた人間ウェポンの爪を、間一髪かわした美緒。 タッ、タッ、タッ...... タッ、タッ、タッ...... 美緒と大地は、『大要塞』の照明が落ちると同時に暗黙の中を駆け抜け始める。 『大要塞』の照明が落ちた...... 即ちそれは、圭一が無事『配電盤室』に辿り着いた事を意味する。 良かった...... 緊張の中に、一時のオアシスを感じる美緒だった。 しかし感傷に浸っている時間などは無い。死へのカウントダウンはすでに始まっている。 自家発電機に切り替わるまでの時間は、たったの10分。その間に丘を越えて、300m先の更なる丘を越えていなければ、二度と圭一に会う事も無かろう。 ここで自分が、人間ウェポンに捕まってしまうような事にでもなれば、圭一の功績が無意味なものへと化してしまう。 圭一さんは、命を掛けて自分の仕事をやり遂げた。次は自分の番だ! 美緒は人間ウェポンの爪をかわすと、一目散に丘を駆け上がった。 ザッ、ザッ、ザッ ザッ、ザッ、ザッ 砂利で固められた丘を慌てて登り詰めれば、当然の如く砂利は下へと崩れ落ち、『私はここに居ますよ』と言わんばかりの音を発生させる。
/1040ページ

最初のコメントを投稿しよう!

366人が本棚に入れています
本棚に追加