第二十七章 最強兵士

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圭一さん...... 私、どうしたらいい? 撃たれちゃった。 着弾により受けた身体へのダメージ。 更にはその事による精神的ダメージ。 しかし、 ダメージはそれだけに止まらなかった。 激しい痛みと共に、間欠泉の如く傷口から吹き出した赤い液体。 『出血』 その事こそが、最大のピンチを巻き起こす結果となってしまう。 「グエッ、グエッ、グエッ!」 よだれを垂らしながら、興奮しきった表情を浮かべる4体の人間ウェポン。 美緒の脇腹から発せられた強烈な血の匂いは、ウェポンの狩猟本能を最大限までに伸し上げていった。 それまで大地を追っていた2体のウェポンも、血液臭に素早く反応し、突然体を翻して美緒にロックオンを開始する。 タッ、タッ、タッ! タッ、タッ、タッ! ほぼ瞬間移動と言っても過言では無い。 気付けば東西南北、4体のウェポンが美緒を取り囲み、もはや完全と言える程に美緒の退路は絶たれていた。 「おお、しめしめ......俺はノーマークになったぞ。この隙に......」 大地は、自分への包囲網が解かれると、ここぞとばかりに丘を登り切って行った。 逃げ足だけはやけに早い。卑しい人間の特徴とも言えた。 4体のウェポンが、脇腹から血を流す美緒に群がっている様子が、大地の赤外線スコープにも確実に映し出されている。
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