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「17時って言ったラ、あと4ジカンしか無いじゃないデスカ!」
ポールが戦慄の表情を浮かべながら、天に叫んだその時だった。
「配電盤室だ! 突っ込め!」
バタバタバタッ!
バタバタバタッ!
突如、扉の外から無数の足音が響き渡ってくる。敵兵の襲撃だ。
「募る話はまた後だ。一気に突破するぞ!」
エマは即座にライフルを拾い上げ、引き金に指を掛ける。
エマはこれまで、一人孤独な戦いを余儀なくさせられていた。
そこにポールが加わり、そして今、圭一までもが......
この二人がこれ程までに頼もしく思えた事は無い。正に勇気百倍、怖いもの無し。今のエマにはそんな力強いオーラが滲み出ていた。
「エマサン、1個だけ持ってマシタ」
慌ててそう告げたポールの手の平には、何やらこぶし大の塊が。
「お前、よく手榴弾なんて都合のいい物持ってたな」
「1個だけデス。ラッキーです」
ポールは一瞬得意気な表情を浮かべると、直ぐ様、安全ピンを抜き、プロボーラーの如く扉の外へ転がした。
ゴロゴロゴロ......
そして次の瞬間には、
ドッカーン!
「うわぁ!」
十分すぎる程の手応えだ。
爆発に伴う大きな地響きと、兵士達の発する慟哭の叫び声。
この二つを合わせれば、目には見えなくとも、扉の先の惨劇が容易に想像できる。
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