第二十七章 最強兵士

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間一髪! 危ういところだった...... エマは途端に胸を撫で下ろす。 「おいポール手伝え!」 間髪入れず、圭一の怒号が響き渡る。 「リョウカイ!」 この後無数の兵士がここへなだれ込んで来る事は必至。何としても食い止める必要があった。 圭一、ポールの2人は、いかにも重そうな棚を見付けると、それを2つも3つも扉の前に重ね置き、取り敢えずは敵の乱入を防ぐ。 落ち着いて周囲を見渡すと、思いの外、部屋が広い事に気付かされる。 6人掛けのテーブルがざっと数えて40。それぞれのテーブルには、醤油、塩などの調味料、それに割り箸などが中心に揃えて置かれている。 壁には、 『サバの味噌煮定食 400円』とか、 『カツカレー 500円』とか、 『ナポリタン 350円』などなど...... 庶民を思わせる掛け札が、所狭しと張り巡らされていた。全体的に落ち着いた雰囲気が漂っている。きっと兵士達の憩いの場となっているのであろう。 「どうやら連中の食堂みたいだな。おい圭一、武器弾薬庫とはそんなに離れてないんだろ」 エマは一旦呼吸を整えてから、ゆっくり問い掛けた。 「20mってとこじゃないでしょうか。厨房の先、部屋を2つくらい挟んでその向こうだと思います」 エマは圭一の声に耳を傾けながら、注意深く四方を見渡した。 正面、左、右、下...... そして最後に視線を上に向けた。 かなり天井は高い。3mは下らないだろう。 「......」 気付けばエマの視線は、天井のある一点に釘付けとなっていた。しかも無言。 一体、何に注目しているのだろう。
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