第二十七章 最強兵士

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扉を封鎖し、敵の侵入を防いだからと言って、こんな所でいつまでも籠城している訳にはいかない。 タイムリミットは刻々と迫って来ている。猶予は無かった。 「おい圭一、ポール肩車だ!」 それまで無言だったエマに突然スイッチが入る。 「えっ、肩車って?」 「何のコト?」 男性陣2人は、エマの真意が全く見えていない様子。首を傾げながら、互いに顔を見合わせている。 「天井見ろ、ダクトだ。ダクトの先は排気管と決まってる。多分天井裏で網の目のように繋がってる筈だ。ポールが下、圭一が上。早くしろ」 「御意!」  「リョウカイ!」 二人はエマの意図を漸く理解すると、素早くテーブルの上に飛び乗った。 その拍子に醤油、ソース、塩......テーブルの上に置かれていたあらゆる物が倒れて床に転げ落ちる。 なぜかそれを全て拾い上げて、隣のテーブルに並べ直すエマ。こんな火急な時であっても、女性の本能がそれを許さないのであろう。 やがてポールが圭一を担ぎ上げると、圭一は素早くダクトのカバーを剥がし、 「とうりゃあ!」 ダクトを力任せに引っ張り出した。 ガボッ、バキバキッ! 「どんなもんだい!」
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