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「よし、準備完了だ。行こう!」
エマは袖で口と鼻を塞ぎながら、号令を下した。
「さあ、エマサンどうぞ。肩車デス」
いつの間にポールは圭一を突き飛ばし、ダクトの穴の下でスタンバイしている。
「おう、ありがとよ」
すかさずエマは、ポールの肩に土足で飛び乗り、更には頭の上に足を乗っけて、気付けば天井裏へと消えていた。
「ハハハッ......甘いな、ポール君」
そんなポールの思惑に反したエマの行動に、思わず苦笑いを浮かべる圭一。
「これでも自分はエマサンの役に立てて幸せデス」
圭一の度重なる活躍に、先程から指をくわえて見守る事しか出来なかったポール。負け惜しみ発言以外の何物でも無かった。
ポールはエマに続いて、天井の穴に飛び付き、排気管の中へと消えていった。圭一もその後に続く。
一方、扉の外では......
「ダメだ。びくともしない。バズーカ持ってこい!」
「了解、すぐにお持ちします!」
食堂の中がすっかりガスで充満している事など、勿論兵士達は知るよしも無い。哀れとしか言いようが無かった。
タッ、タッ、タッ......
やがて足音が戻ってくる。
そして、
「バズーカ砲です!」
2人の兵士が、額に汗を浮かべながら、『ガス爆発起動装置』を抱えての到着だ。
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