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「それでは、行って参ります」
龍貴に背を向け、一躍狩りに向かおうとする5人。
「ちょっと待て」
「何でしょう」
途端に足を止める。
「潜入者の一人は『玄武』のリーダーだった柊恵摩だ。油断すると殺られるぞ」
「『玄武』のリーダー......そうですか。1度樹海の森で顔を合わせています。彼女には大きな借りがあります。ちょうどいい機会......必ずや首を取って参りましょう」
「その意気だ。よしっ、行け!」
『朱雀』の5人は龍貴に一礼すると、勇躍『ヴィレッジ』へと向かって行った。
珠(たまき)をあと一歩の所まで追い詰めていながら、突然現れた『玄武』の頭エマに手柄を横取りされた恨みは、未だフツフツと煮えたぎっている。
まさに彼女らの士気は、天にも昇る勢いと言っても過言では無かった。
絶対に殺してやる!
5人の乙女には、そんな決意が全身から滲み出ていた。
『ヴィレッジ』......
そこが特殊ゴムで変装した人間の実験の為に造られた『仮想の街』である事は言うまでも無い。
複数のももが、突然圭一と美緒の前に現れた事は記憶に新しいところだ。
そんな『ヴィレッジ』で待ち受けているもの......
それは正にゲリラ戦 。アマゾネスの最も得意とするバトルだ。
百戦錬磨のエマ達でも、きっと苦戦を強いられるに違い無い。
ハァ......
龍貴は血気盛んな『朱雀』5人を見届けると、一つ大きなため息をつく。
何か物思いに更けている様子だ。
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