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「うっ!......」
奇妙な呻き声を上げながら、地べたに崩れ落ちる男が1人。
兵服を纏い、手足が縛られたその者は、2発の銃弾を左右からまともに受けていた。
この『大要塞』の兵隊である事はほぼ間違いなかろう。
奴らじゃない!
はっ、はめられたか?!
突然、2人の背中に冷や水が走る。
その者は、何やらこぶし大の塊を口にくわえているではないか。
何くわえてるんだ?
今にも倒れそうなその者を挟んで、2人の戦士は左右から互いに顔を見合わせた。
口にくわえているもの......
よくよく見れば、それは
「「手榴弾!」」 だった。
やがて兵士の膝はガクンッと地に落ち、
そしてその拍子に、
口から、ポロン。
コロコロコロ......
手榴弾は見事、地に転がった!
「「にっ、逃げろっ!」」
しかし、気付くのが遅すぎた。彼女らの願いも虚しく、手榴弾は見事な花を咲かせる。
ドッカーン!
大爆音と共に、木っ端微塵となった『豹音』『熊華』の身体は、天高く昇り、細かい肉片と化して再び地に舞い降りてきた。
『豹音』の眼球が、頭である『虎子』の顔に当たり、コロコロと地に転がった。
「やるじゃない......」
それはあまりに一瞬の出来事だった。
血のシャワーを全身に浴びた『虎子』は不敵な笑みを浮かべ、強がりを見せる。
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