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樹海の森でエマと初めて会った時から、どうも苦手意識を持ってしまった感は否めない『虎子』だった。
タッ、タッ、タッ
タッ、タッ、タッ
『階段は右側を通りましょう』
そんな貼り紙の前を、素早く駆け抜けていく『獅子美』と『鷹奈』。
3階に到達すると、今度は足音を打ち消し、摺り足で東へと進んでいく。
一番奥の教室に敵が潜伏している。何も考える必要は無かった。扉を開けた途端に、銃弾の嵐を浴びせるだけだ。
やがてドン突きの教室前に到着した2人。狙うはこの教室の中に潜む潜入者の首だ。
ドクンッ、ドクンッ。
高鳴る心臓の鼓動に後押しされるかのように、2人は、壁に背中を擦らせながら、スライド式の扉へと近付いていく。
やがて『獅子美』の左手が扉に掛かった。
よし、準備はいいか?
2人は無言でアイコンタクトを取る。あとはもう飛び込むだけだ。
「行くぞっ!」
「よしっ!」
ガラガラガラッ!
勢いに任せて扉をスライドさせると、二人は間髪入れずに引き金を引いた。
バンッ、バンッ、バンッ!
バンッ、バンッ、バンッ!
............
............
............
しかし、
そこに、
人の姿は無かった。
あったものと言えば......
窓辺にぶら下げされたカラス避けの小さな鏡だけだった。
カラカラカラ......
風に靡く鏡は照明の光に反射し、キラキラと光り輝いている。
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