第二十八章 『白虎』VS『玄武』

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いつに無く、龍貴が悲しげな表情を浮かべた正にその時だった。 トントン。 突然、扉をノックする音が。 「誰だ?」 「『白虎』只今到着致しました!」 「よし、入れ」 「失礼します」 ギー、バタン。 そこに現れたのは、長身の年若き女性が5人。 なんと、全員が丸坊主だった。 そう......彼女らは、アマゾネスの中でも選りすぐりの強者『白虎』、そして全員が『聖経院』の尼でもあった。 5人は皆、エマと衣食住を共にした同胞で有りながらも、自分等が『白虎』である事をひた隠しに隠してしていた正に忠義の士達だった。 5人の中には、エマと最も仲の良かった知美と奈美も含まれている。 「おう、早かったな」 「龍貴様の窮地とお聞きして、3日の仕事を1日で済ませ、只今駆け参じた次第です」 「お前達の忠義、龍貴しかと心に留めたぞ。討つべき輩は、柊恵摩率いる男女4人だ。 エマとは以前『聖経院』で交流があったと聞き及んでいるが......お前達の心に障りはないか?」 「柊恵摩は私共、更には龍貴様までも騙し及んだコソ泥です。そんな者を討つのに、何のためらいがございましょうか。一撃で仕留めてご覧に入れます」 そう語ったのは他でも無い。傷ついたエマを真っ先に医務室に運んだ奈美だった。 そしてその奈美は、『白虎』の頭を務めるアマゾネス最強の強者。 『聖経院』の中ではその身分を隠すべく、誰よりも脆弱を装おっていた役者顔負けの演技者でもあった。
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