第二十八章 『白虎』VS『玄武』

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「恵麻ちゃん。そろそろ出ようか? のぼせてきたでしょう」 「恵麻、喉乾いちゃった」 「そう、じゃあ、お風呂出て何か飲もうか」 「うんっ!」 『赤』が恵麻を抱き上げ、湯船から出ると、美女戦士の4人もその後に続く。 小雪交じりの夕暮れ時。西日が差し込む回廊を歩いていると、5人の火照った身体が徐徐にクールダウンしてくる。 恵麻が湯冷めして風邪でも引いたなら、亡き『黄』に申し訳が立たない。 『赤』は浴衣の上に羽織っていた自身のちゃんちゃんこを脱ぐと、恵麻の肩に優しく掛けた。 「暖かい?」 「うん」 恵麻の父は、恵麻が生まれて間もなく家を飛び出した。 一体今ごろ、どこで何をしているのか?...... 誰一人知る者は居ない。 『娘の事をよろしく......』 『赤』にそう託し、 『解った』 躊躇なく応えた『赤』 この世を去った『黄』との約束を、簡単に反故など出来る訳も無かった。 子育ての経験など皆無の『赤』にとって、恵麻と接する事は、死闘を演じる事よりも難儀と言えた。 離れの露天風呂と本館を繋ぐ風情ある回廊を通り抜けると、やがて頭上には『ラウンジ』の看板が遠目に見えてくる。 しかし、その『ラウンジ』のネオン看板には明かりが灯されていない。 ラウンジって言ったら、やっぱ夜か...... この時間じゃ、まだやってない? 『赤』は半信半疑のまま扉を開けてみる。
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