第二十八章 『白虎』VS『玄武』

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「この子には、何か果物のジュースを。私達は何でもいいので、出来るものをお願いします」 「承知致しました」 バーテンダーは畏まってオーダーを受けると、グラスに氷を入れ、新鮮な果実を絞り始めた。 「あなたはこの店長いんですか? 因みに......もしかしてどこかで私達とお会いした事があります?」 『赤』はバーテンダーに問い掛けた。その顔に見覚えが有るのだろうか。 「つい数日前までは、東京新宿のバーで働いていました。 それがどういう訳か、あなた達のような美しくて指の長いレディー集団にバズーカ砲で店が破壊されまして...... 行く宛ても無く、今ではこの温泉宿でお世話になっている次第です」 済ました顔で、そんな危険な発言をさらりと言って退ける命知らずのバーテンダーだった。 途端に殺気立つ『青』『緑』『紫』の3人。 それに対し『赤』は表情一つ変えず、 「それは大変でしたね」 同情するかのような表情で、労いの言葉を返した。 「はい、特製トロビカルジュースの出来上がりです。全く汚れの無いあなた様にしか似合わない全く汚れの無い100パーセント果汁の一品です。美しいレディーのお口に合うかどうか?」 バーテンダーは鮮やかな黄色に輝いたグラスを恵麻の目の前に置いた。
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