第二十八章 『白虎』VS『玄武』

17/47
前へ
/1040ページ
次へ
 ※  ※  ※ 「のわーっ!」 ムシャ、ムシャ、ムシャ...... 「止めろっ! 来るな!」 ガブッ! 「うわぁ!」 ブルドーザーの如く、美緒が進む道を次々と切り開いていく5人の最強戦士達。 5人が通った跡には、ただ死体がゴロゴロと転がっているだけだった。 美緒はそれら塊をいくつまたいだ事だろう。 真っ赤な目はいつにも増して殺気立ち、まるで鬼のように吊り上がっている。 毒蛇にも勝る鋭い牙は、肉を食いちぎり、骨をも砕き、口にくわえたもの全てをバキュームの如く、瞬く間に飲み込んでいった。 コイツら......ちょっとヤバすぎる。 あまりの残酷さに思わず竦み上がる美緒だった。 時刻は間もなく16時。 あと1時間か...... 目の前には大きな建物が一つ。 それは他でも無い。 『焼却塔』だった。 ここにももちゃんが! 人間ウェポン達の振る舞いが、如何に残酷であろうが、如何にやり過ぎであろうとも、美緒はただ進むしか無かった。 ももの命を救う...... それ以外の事は、もはや何も考えられない。 やがて、美緒達の前に立ちはだかる者は誰も居なくなった。 有るものと言えば、真っ赤に染まった死体の山だけ。五体満足なものは皆無と言っても良かった。 これは敵わじと、早々に武器を捨てて逃げ去った兵士達も多かろう。この有り様を見れば、それは間違いなく正しい判断だったと言える。
/1040ページ

最初のコメントを投稿しよう!

366人が本棚に入れています
本棚に追加