第二十八章 『白虎』VS『玄武』

22/47
前へ
/1040ページ
次へ
「リョウカイ、タイショウ」 観音開きのその大きな扉は、壊すまでも無かった。 ギー。 押したら簡単に開いた。 わけも無い。 中は煌々と明かりが灯され、敵兵は元より、猫の子1匹姿は見えない。 それはまるで誰かが、彼らの到来を待ち受けていたかのようにも思えてならない。 中に足を踏み入れ、上を見上げてみると、天井は吹き抜けの如く高い。ちょうど2階分くらいの高さはあるだろうか。 正に今、6人が足を踏み入れたその空間は『静』の世界。水を打ったかのように静まり返っていた。 そして、中に入って初めて気付いた事ではあったが......窓は1つも無かった。 何かおかしい...... ここまで人間ウェポンの攻撃力にものを言わせ、何も考えずに、ただひたすら重戦車の如く正面突破を続けて来た美緒...... そんな戦い方に慣れきってしまったのか? 美緒がここの訝しい空気に『CAUTION』を発するまでには、少し時間が掛かり過ぎてしまった。 そして遂に、 悲劇はスタートした...... ギー、ガタン! 突然、扉が閉まる。 次に、 バチンッ! 照明が落ちた。 暗黒世界の出来上がりだ。
/1040ページ

最初のコメントを投稿しよう!

366人が本棚に入れています
本棚に追加