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見れば吹き抜けの手摺に腰を乗せ、1人の年若き女性が不敵な笑みを浮かべているではないか!
そしてその者はなんと......
小さな女の子を胸に抱き抱えている。
「も、も、も、も、ももちゃん!」
美緒はここに漸く、ももとの再会を果たした瞬間だった。
しかしももは、手、身体、口を縛られ、見るも哀れなその姿。
更に、女性の手に持たれた鋭い矢は、ももの首に当てられていた。
「どういう状況かは解るな。私がちょっと手に力を入れれば、この子の喉は一瞬にして裂ける事になるぞ。まずはその物騒なものを捨てろ。話はそれからだ」
美緒はここに来てやっと冷静さを取り戻した。
この女が暗闇の中で6本目の矢を射ていれば、今頃自分は間違いなく死んでいただろう......それはやろうと思えば容易い事だったはずだ。
でも今こうして生きている。
それは自分を生かしておく事に、この女が何らかのメリットを見出だしたからに違い無い。
ここにももちゃんを連れ出して来たと言う事は、あたしにとって、ももちゃんがかけがえの無い存在である事をこの女は知っていると言う事になる。
この女はあたしに何のメリットを見出だしたと言うのだ?
うーん......
何となく、よめてきたぞ。
あの男の事か......
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