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美緒は女に言われるがまま、銃を投げ捨てた。
暗闇の中、赤外線スコープを掛けていたとは言え、たった5本の矢で5人のウェポン達を見事射抜いた強者だ。
美緒が引き金に力を入れようとした途端、瞬く間にその行動は読まれてしまうだろう。
ももちゃんの命に、博打を仕掛ける事は出来ない......
美緒は、この女の言う事に従う......
それしか方法は見付からなかった。
ガシャ、カタカタ......
無情にも、銃は音を立てながら床に転がり落ちた。
「素直で宜しい」
すると女は、ももを抱き抱えたまま、上方の手摺から飛び降りて来た。
ももちゃん......
今すぐにでも抱きしめたい......
久々に見るその顔は、恐怖に怯えきっていた。
無理もない。女がしっかりと手に持った鋭い矢は、未だももの首筋に当てられている。
見ればその矢はシルバーに輝いていた。恐らく銀で出来ているのだろう。全く贅沢な話だ。
この強靭なウェポン達の身体を、一撃で射抜いた理由も解る。
フウッ......
女は一度大きくため息をつくと、やがて口を開いた。
「あんたエマの仲間か?」
「エマさんを知ってるのか?」
「まぁな......そんな事はどうでもいい。ところで、この大要塞にお前達は何しに来たんだ?」
「破壊とその子の救出だ」
「お前、この子の母親か?」
「......そうだ」
「助けたいか?」
「当たり前だ」
「そうか......」
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