第二十八章 『白虎』VS『玄武』

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「大要塞を破壊しに来たとの事だが、誰に頼まれた?」 「そんなの言えるか」 「そりゃそうだ。ハッ、ハッ、ハッ」 突然大声で笑い始める美戦士。 恐らく美緒の返答は図星......そんなところだったのだろう。 「......」 「あまり時間も無いからもう一度聞くぞ。お前達を雇った人間は誰だ?  正直に言えば、この子もお前も助けてやる。言わなきゃ親子揃ってあの世行きだ。 さぁ、どうする? 私はどっちでも構んぞ」 そう語りながら、女は矢を握る手に力を込めた。今にも、ももの首に刺さりそうだ。 「......」 さてと...... この絶体絶命のビンチ...... 一体どうやって切り抜けりゃいいんだ? 『公安から頼まれた』 それを言ってしまったら、探偵として終わりだ。 じゃあ、『お願いだから許して! ウッ、ウッ、ウッ......』って泣いて頼んでみたらどうなる? そんなのやった事ないから、すぐにバレそうだ。 元々そう言うキャラじゃ無いし...... 美緒は無言で周囲を見渡した。 必ず何か切り抜ける『道』があるはずだ。 『道』を探せ...... ピチャッ、ピチャッ...... 何の音だ? ああ...... 水が垂れ落ちてる音だ。 この建物は決して古くは無いが、異常なまでに湿気が多い。更には奥深い洞窟内であるがゆえに、ほぼ無風と言ってもよかった。
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