第二十八章 『白虎』VS『玄武』

28/47
前へ
/1040ページ
次へ
恐らくどこかの給水管が腐食し、水が漏れているのだろう。 よくよく見れば、ひっきり無しに垂れ落ちるその水は行き場を失い、美緒のすぐ足元近くまで大きな水溜まりを形成している。 そして垂れ落ちた水の『道』は、すでに倒れて動かなくなった1人のウェポンにまで通じていた。 ウェポンの着ている服は、水をまともに吸い上げてビチョビチョだ。水はここで途切れている。 しかし『道』はここで途切れていなかった。 恐らく無我夢中で胸に刺さった銀の矢を抜き取ったのだろう。 ウェポンの手に握られた銀の矢は、周囲を取り巻いた鉄製の手摺に完全に触れている。 そして...... ももを拘束しているその女は、何と手摺の延長上に寄り掛かっているでは無いか! 美緒の足元から始まった『道』は、 水溜まり ウェポンの湿った身体 銀の矢 鉄製の手摺 それら『電導体』を経由して、なんと女へと通じていた。 あった! この窮地を逃れる『道』があった! そして、 その『道』を通るもの...... それは...... 『あれ』だ。 美緒は、少し膨らんだポケットの中に手を入れる。
/1040ページ

最初のコメントを投稿しよう!

366人が本棚に入れています
本棚に追加