第二十八章 『白虎』VS『玄武』

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ビュー...... 背後から不気味に近付いてくる風切り音...... 美緒の鼓膜は完全にその音を捕らえていた。 お願いだから...... 私の肋骨で止まって。 どうか...... ももちゃんの命だけは 取らないで下さい......神様。 美緒は最期の望みを神に託した。 そして遂に...... グサッ! 肉体に銀の太い矢が突き刺さる鈍い音が響き渡る...... 「うううう......!」 やがて足の力が抜け、拝むようなポーズで膝が落ちる。 ガクンッ、 バタッ。 背中からは濁流の如く真っ赤な血が吹き出し、そして遂にうつ伏せに倒れ落ちた。 それは心臓直撃だった。 いくら神でも再び生き返らす術は無かろう。
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