変わらない道標

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「俺、気付いちゃった」 氷袋を患部に当てながら、いつものメンバーで帰宅中。 いやらしい笑みで擦り寄ってきた海斗は、今一番ウザい生き物かもしれない。 「お前、好きな子できたろ」 「できてません」 「いんや、出来たね。俺、こう見えても鋭いから。で、女バスの誰よ?」 誰か聞いてる時点で、鋭いも何もないじゃないか。 ツッコミは心の中で済ませて、適当に否定した。 コンビニに着き、我慢していたらしい海斗は小走りでトイレへ駆け込んだ。 俺はパックジュースが並べられたいつものコーナーで、いつもの不気味な飲み物を取る。 「1年の新しく入ってきたマネ、よな?」 バタッ 掌から、滑り落ちてしまった。 見えているのに、固まった身体が拾うにはまだ時間がかかる。 「しずちゃんって呼ばれてる子」 隣で何食わぬ顔をして、おにぎりを選んでいる亮介に意表を突かれて、言葉も出てこない。 こいつって、何者…?
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