変わらない道標

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交代で体育館を使う、男バス女バスと男バレ女バレ。 一ヶ月ごとに曜日交代をして、今月に入り、女バスと被ったのがことの始まり。 『しずちゃん、こっちもお願いねー』 休憩中、横から聞こえた名前に飲んでいた物を吹き出しそうになった。 正体は女バスのマネとして入ってきた、町田 静ちゃん。 しずか、だから、"しず"。 分からなくもないが、こちらからしたら迷惑この上ないあだ名。 反応してしまうせいで、ボールは当たるは皆に笑われるはで散々だった。 「やっぱり当たりか」 目を見開く俺を一瞥した奴は、フッと笑って明太子おにぎりを手に取った。 当たり、ではあるけれど。 それ以前に、意味を履き違えている。 「勘違いすんなよ?本当に好きとかじゃ」 「おっまたーっ!」 タイミングの悪いところに帰ってきた海斗。 自然と口を閉ざした俺に合わせて、亮介も何もなかったように接してくれた。 海斗が嫌いな訳では決してない。 ただ口も本人同様、紙っぺらのように軽いから、信用できないだけだ。
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