変わらない道標

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みるみるうちに眉間の皺が深くなっていく。 俺は、可笑しな質問を投げかけてしまったのかもしれない。 「悲しいって、なにが?」 「あ、いや、だから…そう、例えばお嫁に行くとかさ!悲しくならない?」 「…ならないけど」 「えっ?全く?なんで?」 「逆になんでって聞きたいんだけど」 「あ、そう…」 「でもちょっとは寂しく思うんじゃない?」 「えっ」 そう、寂しい。 それもすごく感じたっ! 「あとは?あとは何を思う?それをどうしたらいいと思う?」 「あとはまぁ…幸せになって欲しいとは思うかな。どうしたらも何もないけど」 「え?」 「可愛い妹だし、幸せを願うのが普通でしょ」 優しく笑う彼の意見は、多分、とても的確なもの。 なのに、何故かピンと来なくて。 部屋に戻って来た時には、気が晴れるどころか、余計曇ってしまった気がした。 しずには、幸せになってほしい。 本当にそう思ってる、のに。 …なんでだろう。 無表情と、って考えると…なんでか願いたくない。
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