変わらない道標

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告白をされる度、呼応するように彼女が現れる。 いつからあいつを好きになったのかなんて。 そんな事、しずにしか分からないのに。 思い出すだけで何故か胸が、じんじん痛くなって。 止める術なんて知らない自分は、告白されない事を祈ることしかできなかった。 あれから、会いに行っていない。 もちろん、怖がられるのが嫌だから。 『…なにそれ…怖い…』 めちゃくちゃ、ショックだった。 もし俺を思い出してしまったら、その時はあれ以上に怯えた顔をされるに決まっている。 でもすごく会いたいと、身体が訴えている。 夢に出てくるようになったし、写真を持ち歩くまでになっていた。 しずに会えなくなってから、勉強がひどく苦痛に感じるようになった。 あれほどやり甲斐を感じて、自ずと開いてたテキストさえ見たくない。 今、成績を維持させているのは、親を落胆させたくないのと、やっとここまで来たのにという意地だけ。 だから強制的に思えて、まるで昔に戻ったような気分だった。
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