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2人の間に、凄まじい衝撃が走る。
「うっ…!まさかの、岩倉公…!」
「岩倉右府…!」
井上が、半ば震えながら、槇貝を見上げる。
「あの…その、口にくわえていらっしゃるものは、なんですか…?」
「ああ、これ?これは、舶来品の、シガレット・チョコだよ。」
「あ…それなら別に、いいんですけど…。」
「説明しに来たんだが、オレ様たちは、名村たちと宿泊先のホテルが違う。
『ホテル・ド・オテル』…正式なホテルというより、いわゆるアパルトマンのようだな。
オレ様たちがこれから通う、パリ大学には、幸いなことに、近いようだ。」
尾崎が思わず指をさす。
「井上君、あっ…あの…あれ…あれ…、
『シガレット・チョコ』の先端から、煙、出てる…」
井上がサッと立ち上がり、とりあえず槇貝をぶっ飛ばし、口から煙草を奪い取った。
「コードに触れますから!規約違反になりますから!本当にそういうマジの奴は勘弁してください!…あのー、当時は確かにそんな時代で、戦中戦後ぐらいまで子供が煙草吸ったりしてますけど、オンエアできなくなりますから!!」
槇貝が、床に座り込んだまま、半笑いの顔で言う。
「『ゲロバケツ』、てめぇ、凄いね。見た目より根性、あるね。面白れぇ奴だね、てめぇ。」
槇貝が颯爽と去ると、井上はこれ以上ないくらいに青ざめ、頭を抱えた。
「『ゲロバケツ』て!『ゲロバケツ』て!いや…あのギャグ漫画の序盤でも、『げろしゃぶ』と『フーミン』という、2つの選択肢があったというのに!いや俺の名前、『フーミン』と被る要素がないけれども!」
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