必然の出会い・銀子と由佳里

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「ま…『魔法少女』て、なんですか?」 「あたしもよくわからないのですが…あ、せっかくですから、敬語ではなく、普通に話しませんか?あたしが覚えさせられたのは、ほぼ『攻撃系魔法』、あと、少しだけ、『回復魔法』かな…他にもあるらしいんだけど、よくわからないんだよ。それで…銀子ちゃんって呼んでもいい?…銀子ちゃんと同じ、『人間兵器』と、呼ばれるようになったんだ。でも、あたしは、普通の女の子だよ?だから、そんな、特別な存在だと思って欲しくないし…銀子ちゃんはいい人そうだから、よかったら、友達になってくれないかな?って、思うんだ!」 「由佳里さん、アンタ…ウチを恐ろしいと、普通の人間ちゃうくて、『兵器』であり、『怪物的存在』やと…思わへんの?」 「だって、そんなこと言ったら、あたしと同じだもん!あはは!」 ぐっ…!と銀子は、喉の奥からこみ上げるものを飲み込み、こらえながら涙を浮かべた。 「せやな…せやから、アンタ…さっきから、そんな優しい笑顔をウチに向けてくれるねんな…。 ウチは…家が、かなり大きな、織物商やった。陰では、高利貸しもやっとったみたいやねんけどな。ある日、遊んで帰ったら、家の人間が皆、女中、手代に至るまで、惨殺されとった。血ィの海やった。もう2度と、あんなん見とうないわ。で、やった奴らが、『その世界』じゃ有名な、子供ばかりの強盗団やった。ま、そいつらを束ねとる偉いおっちゃんが、もちろん、おるねんけどな。奴らは、ウチを殺しとうはなかったらしい。で、このままおとなしゅう殺されるか、仲間に入るか、どっちかや、言われたんや。変な話、ウチには「掏摸」の素質が、あったらしいねん。次々と掏り取って、それを、子供組の組長に渡す。で、おまんまを頂戴する。 岩倉右府に拾われるまでは、そんなんやったな、ウチは。」 「苦労したんだね…。」 由佳里の両眼から涙が溢れ、頬を伝う。 「いや、あんたかて、相当な苦労、積んではるで?」
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