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『えー…シニチルー…マキ…ゲー?』
『申し訳ございません、マダム、そのローマ字は、日本語では、「シン・イチ・ロウ、マキ・ガイ」と、区切るのです。』
槇貝は言いながら、管理人が持っている部屋の管理表に記載されたローマ字に、ペンで区切りを入れる。
…ついでに、他の下宿人たちについても教えた。
『彼が「イ・ノ・ウ・エ、コ・ワ・シ」、彼が「オ・ザキ、サブ・ロ・ウ」です。』
ローマ字表記の「井上(Inoue)」は、フランス語では、本来、「イヌエ」と発音する。
管理人は汗を浮かべ、微笑んで槇貝の顔を見た。
『日本語って、難しいわねぇ。』
『まあ、すぐに慣れますよ、マダム。』
『で、こっちの広めの部屋が、イノウエさんと、オザキさんの相部屋。』
管理人は、話しながら階段を上がる。
『この、上の階の、1番、端っこが、あなたの部屋です、ムッシュウ・マキガイ。』
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