オスカー・ワイルドVS編集長

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『そうかい、そうかい!いい根性してるじゃねぇか、「ミスタ・ワイルド」! 原稿、オトしたらなぁ、もう2度とうちの雑誌では書かせねぇぞ! だいたい、あんた、自分の作品の評判、知ってるのか?今ここで教えてやろうか?お前のエロは独りよがり、どの読者から見ても共感できねぇよ!お前もプロなんだったらなぁ、芸術家を気取っていないで、少しは「エロ小説」として、マシなモン書けよ!この、読者アンケート・万年最下位が!! 生首にキスするだの金剛石がどうだの紫水晶がどうだの、昔の作品の完っ璧な2番煎じじゃねぇか!『サロメ』の!悔しかったらなぁ、『真面目が肝心』レベルの舞台劇、もう1度書いて、どっかの劇場で上演してみろ!…さて、何人がチケット、買ってくれるかな? …ま、お前のような『過去の栄光』に縋り付いてるペーペーの作家なんて、俺はどうでもいいわけよ。前借りって言うけどなぁ、お前、『金貸しエスティ』に、相当な金額、借りてるだろ?なぁ?利息分だけ払うので、精一杯なんだろ?エスティに金、借りちまった奴は、『人生終了』してる奴ばっかりだから、原稿料の前払いは、うちの出版社としては、当然、できねーよ!エスティにでも泣きつくことだな!』 そう捨て台詞を吐くと、編集長は、明らかに怒りを込めた足取りで、階段を降りて行った。
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