「死の宣告」と「処刑」から始まる人生・荻野銀子の事情

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「私の命令だ。引き金を引いても、構わんか?」 「いや…申し訳ございません、それだけはお許しください…!」 「銀子、よく見ておけ。」 岩倉が、静かに言う。 「この状況に陥っても、冷静に対処できる…もっと言えば、相手を返り討ちにして叩きのめせる…そして、いざ敗北となれば、政府のため潔く死ねる…その覚悟を、お前には背負ってもらう。…ははは、いくら私でも、お前たちは殺さんよ。何故なら、お前たちが1人でも欠けると、新政府を築き上げるという大事業が、滞るからだ。」 「つまり…『ウラ』の顔は、そうではないと…。」 「あいつらは、畳の上では死ねん。あいつらの死ぬべき場所は、戦場だ。」 岩倉は、悠然と拳銃を懐中に収めた。ふうっ、と葉巻の煙を吹く。 「今の会話のやり取りで分かったかな…?荻野銀子。」 「は…はい…。」 今までは生意気な態度をとっていた銀子が、完全に気圧されながら答える。 「よく聞け、荻野銀子!お前は今日から『人間』ではなく『兵器』…!この明治政府『秘蔵』の、最後にして最強の『最終兵器』だ…!」 銀子は、きっと顔を上げた。 「はいっ!ご命令、確かに承知いたしました!!」 …こうして、「荻野銀子」の「一生」は、始まった。
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