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数ヶ月後、事件が起きた。
佐久君とその両親を乗せた車が、前方から来た車と衝突した。
ぶつかってきた相手は、飲酒運転をしていたそうだ。
両親と相手は即死、唯一たすかったのは、後頭部座席に座っていた佐久君だけ、それでも頭から大量の血を流して重症だったため、車の外で気を失っていたところを、救急車に運ばれた。
私は何も聞かされず、ただ「佐久君のところにいくんだよ」とだけ伝えられ、お父さんとお母さんと一緒に、病院に向かった。
ついた時には、佐久君はまだ手術室の中にいた。
待つこと30分、手術中の明かりが消え、中から30代後半くらいの医者が出てきた。
「佐久君は?!佐久君は大丈夫なんですよね?!」
お父さんは食い気味に医者に聞くが、医者は俯き、フルフルと首を左右に振るだけ。
首を振った意味を悟ったお父さんとお母さんは、目からたくさんの涙を流していた。
けれど、小さかった私にはその意味がわからず、早く佐久君に会いたくて、お母さんと繋いでいた手をパッと離し、手術室の中に走って行った。
中は白いライトがたくさん付いていてとても眩しかった。
医者であろう人たちが、白い帽子にマスク、手袋をしていて、みんなが私を驚いたように見ていた。
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