第1章 恋愛体質で真面目な私?

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24歳ってもっと大人だと思ってた。 「こんなもんなんだ、、、」 「んっ?、何?」 「んでもない」 細くて長い手が太ももにそっとふれる。 そして徐々に奥へと。 頭がボーッとする、 目が霞んでクラクラする。 私を抱いている男の顔さえよくみえない 嗚呼また、一人に抱かれてからっぽになる。 たまってまた慰め合い、その繰り返し、 涙さえ感情なんてない、ただ流れるのだ。 「どうだった?いつもこんなことしてんの?」 男は事が済むと、軽いキスをしていなくなった。 「また遊んでよ。」 男の体温と匂いが私を満たした。 海辺美沙は今この瞬間24歳になる。 六本木の暗いバーのトイレで一人。 ダンサー、振り付け家志望だった。 3歳からバレエを始めた。 いつの間にかのめり込んでいて、何時間でも練習していた。 中学からコンクールにで始め、結果もすこしずつ出るようになった。 親は全力で協力してくれた。 とにかく負けたくなかった。 高校になって、思春期で体型が変わり始めて、バレエが苦になった。 鏡で自分の姿を見たくないし、ダイエットもあまりうまくいかなかった。 学校の友達といるのが楽しくなり、ときにレッスンを休んだ。 みんなが進路をすこしずつ考え始めたころ、このままではダメだ。と思い、全国有数の全寮制バレエ団へ。 そこでの生活は想像絶するものだった。 バレエに集中するための環境にと、携帯電話、テレビ、パソコンは禁止。 学校や病院以外の外出は基本禁止でひまさえあれば練習に励む日々だった。 全国の名だたるコンクールを総なめにする生徒たちとの練習に、自分の無力さを思い知る。 唯一許されるのは母との公衆電話越しの会話と手紙のやりとりだけ。 電話をするたびに親の期待に応えられない自分に涙した。 下級生に抜かされる日々。 だが諦めず練習した。きつい言葉をなげられても泣きながら練習した。 そんな中腰の疲労骨折が判明。 全治1カ月の怪我。 怪我の間は勉強と裏方にはげんだ。 色々考えずにはいられなかった。 こんなに怪我をしてまで自分は踊り続けるべきなのだろうか。 自分は何をしたいのか、逃げたいのか。 今でもわからない。 美沙は壁に寄っ掛かり、部屋を見渡した。 団体客の楽しそうな声、 カラオケの音。 なぜそんなに楽しそうなの? いまの選択に後悔はない?
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