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「城崎さんの家ってこっち方面だったんだね。」
もう少しで私の家に着くといったところで伊藤くんが呟いた。
「うんっ、そうなの。伊藤くんの家は?」
「ああ、この辺だよ。」
「そうなの!?じゃあ、ご近所さんだったんだね!」
そして、私の家が現れ、伊藤くんとの幸せな時間が終わりを告げようとしていた。
「ねっ、ねぇっ!伊藤くん!」
「どうしたの?」
「わっ、私のっ家っ、そこなんだっ!」
「そうなんだ。じゃあここでばいばいだね。」
「うっ、うん。そうなんだけどっ…。
あのっ!伊藤くんっ!
私っ!伊藤くんのことが好きですっ!伊藤くんの、かっ、彼女にしてもらえませんかっ?」
言えた。
前までの私なら絶対に言えなかった言葉が言えた!
大丈夫。
私はかわいくなったんだから。
伊藤くんもきっとOKしてくれる。
恐る恐る伊藤くんの顔を見ると
とても悲しそうな顔をしていた。
えっ、嘘。
ダメってこと?
私、こんなにかわいくなったのに?
「いっ、伊藤くん…?」
「あっ、城崎さん…。
えっと、その、告白、ありがとう。うれしいよ。
でも、だめなんだ。僕は…、僕は…。」
「いっ、伊藤くん?
だめって何が?私の何がだめなの?」
「城崎さんがだめな訳じゃないんだ。僕は…、僕はね…。
ドール人形しか愛せないんだ。」
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