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「えっ…?ドール、人形…?」
「そう、ドール人形だよ。あの美しさが好きなんだ。何よりも、好きなんだ。
城崎さんがドール人形なら、僕は、城崎さんを一生大切にできるよ。綺麗なドレスを着せて、毎日丁寧に磨いて、僕以外誰も触らないようにガラスケースに入れて南京錠をかけるよ。
僕は、城崎さんが生きているという時点で城崎さんを好きになることは、愛することはできないんだ。」
「いっ、伊藤…くん?」
「ははっ、ごめんね、気持ち悪かったね。でも、そういうことだから。
城崎さんの家はここ?
じゃあね、…ばいばい。」
「あっ、伊藤くんっ!」
伊藤くんは後ろを一度も振り向かずに帰って行った。
私は、どうするべきだったのだろう。
追いかけて、それでも好きだと言うべきだったのだろうか。
私は、私は…。
「お疲れだね、咲夜ちゃん。」
「ルクレイ!」
「咲夜ちゃん。咲夜ちゃんは大切なことを忘れているよ。」
「大切な、こと?」
「咲夜ちゃんは伊藤くんの気持ちが欲しいんだよね?
ねぇ、咲夜ちゃん。咲夜ちゃんはもう一つ願いを叶えることができるんだよ。」
「あっ…!」
「さあ、咲夜ちゃん。君が望んでいることは、何?」
「わっ、私は…!」
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