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「…。ここは…?」
「ああっ!城崎さん!目が覚めた?」
「伊藤…くん…?」
「そうだよ、おはよう!ここはね、僕の部屋なんだ!
そして城崎さん、罪深い僕を許してほしい。
僕は一度君を愛せないと言った身だ。
だが、城崎さんと別れてから城崎さんが忘れられないんだ…。
お願いだ!こんな僕を許して、愛してはくれないだろうか…?」
「伊藤くん!もちろんよ!」
「ああ、よかった。」
すると、伊藤くんは私を後ろから抱きしめた。
ああ、なんて幸せなんだろう。
すると、私の腕にチクリと痛みが走った。
「痛っ!伊藤くん?何、その注射…?」
「ああ、ごめんね。でも、城崎さんは僕を愛してくれるんだろう?
僕はドール人形しか愛せないんだ。
だから、城崎さん。君を一生愛するためにドール人形になってくれないかい?」
「えっ…?伊藤…くん…?」
「ああ、この注射はね、合成樹脂といってね…。っていっても君にはわからないよね。
僕はね、伝えた通り、生きている人間に興味がないんだ。
なんせ、醜いからね。
歳はとるし、生きていれば性格も顔も歪む。
でも、その反対に人形はその美しさを一生変えない。
とても素晴らしいものだと思うんだ!
僕はね、城崎さん。君に惚れているんだ。
初めてだよ、生きた女性を美しいと思えたのは。
だからね、その美しさを僕の手で一生のものにしてあげるね。」
「伊藤くん…。」
「僕も生きた人間を人形にするのは初めてだから、どうなるかわからないけれど、
この注射を全身にくまなく刺して、その後は合成樹脂のプールに入れて固めてあげるね。
大丈夫。怖くないよ。僕がずっと側で愛してあげるからね。
ああ、ほら見て。あの天窓から見える星を!
あの、一番大きく輝いているのがシリアスだよ。
ああ、今日はシリアスが一段と輝いて見えるよ。まるで僕らを祝福しているみたいだ!」
「伊藤くん…。」
「ん?どうしたんだい?」
「私、伊藤くんに愛してもらえてうれしい。
愛してるわ。」
「僕も愛してるよ、咲夜。」
「ルクレイも、ありがとう…。」
「ルクレイ?よく分からないけれど、咲夜はかわいいね。」
「さあ、咲夜!あの星を見ながら夢の世界へ行っておいで。
おやすみ。咲夜。」
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