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話せば話すほどに、本当にお互い正反対な人間なんだなって感じたし、もしかしたら僕はそんな全く違う世界で生きてきた彼から見えるその光景を知りたかったからかもしれない。
それを提案してしまうほどに、話すのはとても楽しかった。それは変に馬が合ったからなのか? それとも前の世界で話し相手が碌に居なかった僕が久しぶりに話せたのが自分で嬉しかっただけだったからなのか?
彼はそれを笑って受け入れてくれた。
僕は彼が自由に生きてきた世界を手に入れて、いじめの枠から外れた世界を生きて見たいと望んだ。
彼は僕の寒くてつまらない世界を自由に押し広げる事を望んだ。
そして、ある一つの条件をもってお互いの世界を交換した。その条件というのはね?
夢や無意識中から互いに精神を行き来してその日に起こった脳内の記憶を共有するというというもの。
そう言えば魂同士で会話するも、念じているだけで以心伝心が出来る事に今更ながらに気がついた。
「でも…流石にそんなことは出来ないんじゃないかな?」
恥ずかしい事、知って欲しくない事が生きているうちに何度もあったから僕は望まなかったけど、
「この魂の出会いだってテレパシーでの会話だって十分ファンタジーだろ? 互いの世界を交換する事が出来たら、きっとそれだってできる。俺の記憶を見てろ? 自由に生きて環境を変えて見せたら、お前にだって出来るって分かるから。その時はよ、こう思うんだ。出来る出来ねぇじゃねぇ。やるかやらないかだ! な?」
彼はそう言って、笑いながらその希望を一方的に押し通した。
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