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「次は……あ、次も剣聖科からの転入生ね」
「はい。
神崎 相馬です。去年まで剣聖科に在籍していましたが、事故や手術により剣聖として居続けることが難しくなったため、この魔導科へ編入してきました。
これからよろしくお願いします」
紹介し終わると教室の中がざわつき始める。
ーー「今、神崎って言ったか?」「確か神崎って剣聖科のトップにいたやつじゃなかったか?」「何でいるのかなって思ったら、手術してたんだー、可哀想」
ーートップにいたって言っても後半は成績がガタ落ちしてたんだがな。
と相馬は心の中だけで愚痴をこぼす。
隣の夢見はいやらしい笑みを薄く浮かべ、堅次郎は背中を叩きながら「人気者だな、相馬は」とか笑っている。
……そういえばなぜ夢見は話したこともない俺の名前を知っていたのだろうか?
夢見の方を見て聞こうとする前に、あっちから答えてくれた。声は出さずに、口の動きだけで。
ひ
み
つ
ーーと。
後から思えば、この瞬間に相馬は生まれて初めて『イラつき』という感情を覚えたのかもしれない。
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