第6章

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「…そういや、僚、何かキョロキョロしてなかった?」 顔をひきつらせ、後退りしていると、悠が思い出したように言った。 「あ、そうなんだよ。笹野先生に一平見かけたら自分の所に来るようにって伝えてって言われたんだ。…でも、帰っちゃったのかな?」 助かったとホッと息をついて言うと、悠は思い当たる節があるらしく、 「そういえば…」 と言った。 「見たの?」 「あぁ、さっき屋上に行く階段を上っていくの見た」 「じゃあ、行ってみよ」 踵を返すと、悠が“俺も行く”と隣に並んだ。
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