第二話 初めての冒険

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「はっはっは、がんばれガット」 「ほら、お弁当持ってきたから食べなさい」 「おー、サンキュー。ちょうど腹が減ってたところなんだ」 「食ってやるよ」 「またそんな言いかたして。無理に食べないでいいわよ」 「いや、まあ……、お腹減った……な」 「最初からそう言えばいいのよ、腹を空かせた野良猫さん、髪が黒いから黒猫かな」 「ちっ」 ハスエルのサンドイッチを大口でかぶりついているケインが、 「ハスエルは料理上達したなー」 「でしょ、毎日やってるからねー」 「ああ、村長も俺も助かってる」、ガットがギリギリ聞こえるぐらいの声で呟く。 「やけに素直ね」 「俺ら料理できないからね。男二人の生活だとどうしても……」 「ガットが素直だと気味悪いな」 「そうよねー」 「もういいよ」 ガットは村長の家でお世話になっている。 村長はもともと一人暮らしだったので、今はガットと男二人の生活だ。 ハスエルは彼が転がり込む前から村長の世話をしていたので、ガットのために食事を運んでいるわけではない。 「ガット、その仮面――外さないね」、少し心配そうな表情でガットを見るハスエル。 「まあ、ね……」 彼がこの村に来る途中で盗んだ品だ。 白銀製の仮面で目だけ覆われており、鼻と口は露出している。 目の部分にはカラーのレンズがはめ込まれ、外から目の色は判断できなかった。 「前に聞いたときは酷いキズって――私なら治癒魔法で治せるよ?」 「これは、このままでいいよ。戒めみたいなものさ」 「そう? ならいいけど。必要なら言ってね」 「ああ」 「今さら素顔を見せられて、美少年でしたとか、俺困るわ」、苦笑いするケイン。 「何に困るって言うんだよ」 「え、いやぁ、まぁ、なんだ――」、弱いところを突かれ、しどろもどろになる。 「ぷっ、ふふふ、はっはっはっ」 ガットは薄々感づいていた。彼がハスエルに好意を抱いていることを。 そして、幼馴染みの間に突然沸いたガットを意識していることも。 「なんだよ……」
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