4人が本棚に入れています
本棚に追加
ミュセルを抱きながらシオンは焦れていた。
いくらその肌を愛しく触れてもミュセルの身体は解けてゆかない…。
ただ怖れ震えるばかりだ。
短く悲鳴を上げたあとは言葉を忘れたように涙を流しているだけで、拒むことすらしない。
"人の女とはこのように難しいものか…?"
ジュラたちとの違いにシオンはミュセルを持て余した。
そのもどかしさが身の熱に変わる。
かつて経験したことのない思いの熱に流されシオンは嵐のようにミュセルと交わった。
苦しげな様子でありながらも声ひとつたてないミュセル。
すべてが終わったあと、放心したように横たわるミュセルを、シオンは不思議な気分で見つめていた。
この女はなぜ泣くのか。
快楽を共にすることに何の障りがあるというのか?
なぜ歓ばぬ?
ジュラたちのように声をあげ応えることをせぬのはなぜか?
ただ不思議だった。
「ミュセル、なぜ黙っている。怖れることはない。わたしはおまえが気に入ったのだ。わたしと共にここで過ごす。否か?」
シオンの言葉に、初めてミュセルはその裸体を両の腕で恥じるように抱き身を縮めた。
最初のコメントを投稿しよう!