第2話 種子

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「…」 ジュラは命じられるまま姿を消した。 人の世界で知った"何か"を内に宿したまま、神界へと戻った。 人はそれを"嫉妬"と呼ぶだろう。 確かにジュラの内に嫉妬の種子が宿ったのだった。 まだ芽吹いていない種子ではあった…。 女が歩き出す。 シオンは女の行く先を目で追う。 何かを見つけ女は嬉しそうな様子で駆け出した。 「シュテル!」 黄昏の色の髪と灰の色の目をした男が女の向かう先に立っていた。 「ミュセル!」 男と女は抱き合い口づけを交わす。 "ミュセルという名か…" シオンは女の名を知った。 二人のそばに立つ。 やはり女は美しくシオンの目を奪う。 "…だが、気に入らぬな…" シオンは、ミュセルを抱きその髪に触れている男を、冷酷な目で一瞥した。
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