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「――3年生なんですね」
「ええ」
「あの、突然で悪いんですが、――放課後、屋上に来てくれませんか」
ボクは自分の発言に半ば驚いていた。
だけど、話を聞くことで、ここ最近の胸のモヤモヤは晴れると思った。
彼女は目をぱちくりした後、とまどいつつも「ええ、いいわよ」と、頷いてくれた。
そして僕は、一礼して彼女が去りゆく姿を、いつまでも見ていた。
隣りで騒ぐ、井野には気づかずに。
――パチ☆
「痛てっ」
不意に、頬に痛みが走った。
ボクは反射的に頬に手をあてがった。
「なにボケっとしてんのよ」
気がつくと、笹口がいた。
彼女がボクの頬を打ったようだ。
「こいつ、変なんだよ」
と、井野が笹口に言う。
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