第1章

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「変?」   井野の言葉に、笹口は眉間にシワを寄せて、怪訝な表情。 「いつもボケッとしてるし、今だって――」 井野はそこまで言いかけて、やめた。 女の人に声かけて、屋上で待ちあわせ――なんてこと、ボクの彼女に言えるはずもなかったんだろう。 「現代文の教科書、貸して」 と、笹口は言った。毎度のことだ。 「あぁ」 彼女である笹口の前でも「桜涙の君」のことで頭が一杯だった。今日、放課後に会える――。 放課後――。 「お待たせ」
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