冒険

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真琴の実家を訪ねた後、今度は古庄に実家へ連れて行ってもらえるよう、真琴は何度も古庄に頼んだ。 けれども、古庄はのらりくらりと真琴の要求をかわし、とうとうラグビー部の花園予選が始まって、週末の身動きが取れなくなってしまった。 そんな古庄に、真琴は業を煮やした。 こんな調子では、いつになっても古庄の実家には挨拶には行けない。かと言って、〝結婚〟という重要な報告を、いつまでもなおざりにしておくわけにもいかない。 やはり古庄の実家に対しては、きちんと筋を通して礼儀を尽くしておきたかった。こういうことは、最初が肝心だ。 それで、古庄が花園予選で出かけていった土曜日、真琴は意を決し、列車に飛び乗った。 古庄に言ったら止められるのは分かっているので、古庄には内緒で、一人ででも挨拶に出かけるつもりだった。 古庄の実家のある場所は、その昔担任だったという校長から訊き出している。スマホに表示された詳細な地図の上を指し示してくれたので、そこにピンを立てておいた。 準備は万端だけれども、少しずつ古庄の実家に近づくにつれて、真琴の胸の鼓動は徐々に大きくなってくる。緊張で、気が付けば体がこわばっているのも分かる。
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